ベランダで一服。
蝉が転がっている。
アブラゼミ。
まだ、足は動いている。
地中に長く潜って、夏、外界に出て一週間ほどで転がる。
オジさんのことを思い出す。
キャップで蝉を取ってくれた。
芝公園あたりにも、沢山蝉はいた。
ミンミンゼミの方が美しく見えた。
蝉の羽化を見たのも、オジさんの家で見た夏休み。羽化直後は透き通っていて、少しすると虹色になった。きれいな虹色がやがてアブラゼミの茶色になることを知った。
ボーリングをした。
神輿をかついだ。
晩年には苦手だと言っていた歌をうたいにカラオケに言っていたっけ。
ラジオをかけて、競馬新聞を読んでいた。
オジさんが教えてくれた、もうからない競馬。パチンコだけはしていないよ。
冷蔵庫の中身が少ないから、
コーンをバターで炒めた。
もう少しだけ、いも焼酎の水割りを。
下戸だったオジさんが作り始めた果実酒は甘かった。