財布とにらめっこして、欲しかったCDを買った。
軽い約束をしてたので、早速i-podに入れて、公園まで来た。
が、相手がいない。
せっかく来たのだからと、買った新譜をベンチで聴いている。
このCDはきっと売らない。
豊田道倫「mtv」。
出掛ける時、家の近くで、ウグイスが鳴いていた。
椿の葉の裏に隠れて、小さな体を震わせて。
うぐいす鳴いてる、という曲が聴きたくて、サニーデイ・サービスを途中のTSUTAYAで借りた。
桜がきれいだ。
寒が戻ったおかげで、まだ持ちこたえてくれている。
今年の春は、花の匂いや、自分の辞書になかった花の名前を新たに覚えている。
まず、梅の花の匂い。
夜に漂う、胸を捕まれるような匂い。
もう散ってしまった梅だが、花に集まるメジロの姿も込みで、しっかり記憶した。
白いコブシの花もきれいだった。
大きな白い花弁。
ユキヤナギ。
桜を見上げているとつい見逃してしまうが、その目線の下でこうべを垂れて咲いていた。
墓参りをした日だった。
今日と同じ宿直明けの日。
忘れてしまうから、焼き付けておく。
忘れてしまうけど。
ふと、ジーパンの膝に目を降ろすと、擦りきれて穴が空きそうだ。
やむを得ず常用しているが、三回以上は春を味わってくれている。
次も長持ちするのがほしいが。
うーむ。
財布とまた相談。
…
許可は下りそうにないので、今ので粘ることでしょう。
すっぽかされたおかげで、一息つけた。